2018年11月23日金曜日

無知が生んだ悲劇;死球で高校生死亡

 クモ膜下出血に心臓マッサージは厳禁。あれほどきつく言ったつもりだったが、今度は、その無知が最悪の悲劇を生んでしまった様だ。
 今年の4月6日の記事で、舞鶴市長が倒れた時に、くも膜下出血の可能性があるにも関わらず、胸骨圧迫(心臓マッサージの正式名称)をしたと報道されていた。明らかに医療ミスなのだが、その事には、私以外の誰も触れなかった。

 クモ膜下出血は、脳の血管が傷ついて、脳内で出血することによって発症する。一方、胸骨圧迫は、止まった心臓に圧力を掛ける事により、血流を維持・増進します。その結果、一時的に血圧上昇を生みだす。だから、脳内の出血を悪化させてしまうのだ。
 事故の状況をニュース記事等から再現します。今年の11月18日午後1時40分頃、高校2年生の被害者は、練習試合で打席に立った。被害者は、打者用のヘルメットを被っていたのだが、不幸にもヘルメットの縁に投球が当たってしまった。被害者は、「痛い」と叫んだあと、倒れてしまった。顧問や保護者は、心臓マッサージをした後、病院に運んだ。しかし、19日午前9時に亡くなったというのだ。
 別の記事では、「意識がもうろうとしていたため、心臓マッサージを受けながら救急搬送され」と解説されている。明らかにこの時点で誤った救命行為となっている。救急救命講習会では、「意識が有る人には、絶対に胸骨圧迫をしてはならない」と指導している。その禁じられた救命行為を実施したがために、死亡したという推測は間違ってはいないと考える。

 今回は、頭部の強打です。心臓が止まる原因はどこにもありません。だから、胸骨圧迫の必然性はなかった。考えられる損傷は、脳挫傷かクモ膜下出血です。どちらも、胸骨圧迫は、必要ありません。4月6日の記事に、胸骨圧迫の必要性を確認する手順を解説している。これは、救急救命講習会でも指導している内容です。この手順を踏めば、絶対に胸骨圧迫はされなかったはずです。
 因みに、最近話題のAEDは、一般の人でも操作して良いと言われている。これは、例えば、今回の事故で操作しても、AEDが自動的に不要と判断し、ショックは与えないからなのだ。胸骨圧迫は、人が意識して行うので、こういう悲劇に繋がる可能性を孕んでいるのだ。

 今回の悲劇は、私が指摘した舞鶴市長の事故の反省が成されていないから発生したといっても過言では無いと思います。是非、考えて頂きたいものです。こういう悲劇は、繰り返して欲しくありません。

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